【短編】会いたいと切に願う
その言葉でようやく落ち着いた私は、今、自分がどこにいるのかを悟った。
ここ、大学の近くにある川だ。
綺麗に整備された道に、川の水を利用した噴水。
飛び散る水しぶきが雪と重なり、まるで切り取られた絵画のような鮮やかな景色を浮かべている。
その光景は目にキラキラと焼きついて離れないほど。
「分かった?」
「何が?」
問いかけの意味がさっぱり分からなくて聞き返すと、またもや笑われてしまう。
私、いっつも笑われてばっかじゃん。
もうっ!!
「プッ。……だから、これが答えだよ」
「あーっ、吹き出したわね〜!! しかも答えって言われても分かんないし!!」
もう、笑われるのも慣れたよ?
慣れたけどさ、吹き出すことないじゃん。
口をプーっと膨らます。
私の意外な一面、あなたとだから見れたのかな。
こんな自分も悪くない、そう思った。
「ひいらぎは鈍いなぁ……。ま、そんなとこも可愛いけど? じゃあ、説明してあげる」
まーたー、可愛いって言ったー!!
もうっ。また恥ずかしくなるじゃん。
私の反応を見てクスクスと笑う彼は、この時ようやく問題の答えを教えてくれたんだ。
*****
Q1.うるさく喋っていると、静かにって注意される場所は?
〈答え.海(Sea)
シィーって言われるから〉
*****
Q2.試験前日、勉強していないひいらぎが、焦ってはるものは何?
〈答え.山
勉強してないから、ヤマをはってテストを受けるから〉
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Q3.可愛いと言うひいらぎが好きな場所は〜?
〈答え.川
かわ、いい……。川が良いから〉
*****
「って、別に私じゃなくてもいいじゃん!!」
「ハ八ッ、折角名前聞いたんだし使わせてもらったよ。どうだった? 俺が考えたなぞなぞ」
えっ、これ自分で考えたの?
私なんて問題を考えるどころか解くことさえできないのに。
「くだらなかった?」
そう言って私を見つめる瞳の奥が、少し寂しげに見えた。
勘違いかな?