【短編】会いたいと切に願う

一五と出会って三日後――。


その日は記録的な大雪で、前が見えなくなるほどの吹雪だった。

大学から休講のメールがきた私は、のんびり家で過ごしていた。


こたつに入ってみかんを食べて、とりあえずテレビなんか点けてみて。

……暇。


彼氏がいればなぁ。



『大学休講になって暇なんだ〜。会いに行ってもいい?』

『ん、いいよ。危ないから俺が柊んちに行くよ』

『ありがと〜、待ってるね!』



って誘えるのにな。

まぁ、どっちみち冬真だったら会社休みじゃなかっただろうし、会えなかっただろうけど。

あ、冬真は三日前に別れた彼ね。って知ってるか。


私は仕方なく、こたつの上に突っ伏した。

ポカポカとした温もりに、段々と目蓋が重くなってきて。

もぅいいや……
おやすみなさぁーい。



『また会ったね、ひいらぎ』

『あなたはこの前の! ちょっと、突然走り去って私を置き去りにしないでよ!』

『何〜、寂しかったの?』

『う……そんなことない!!』

『アハハッ。ムキになっちゃって可愛いなぁ〜』



ドキッ!!

あ……れっ?


なぁんだ、夢か〜。

そう言えば、あの彼はどこの人なんだろ?

またねって言ってたけど、また会えるのかなぁ。


それにしてもあの笑顔はダメだ。

思い出しただけでドキドキしちゃう。

あ〜、顔が熱くなってきた。


パタパタパタ。


手で顔を扇いでみるけど、熱は下がらなくて……って、



「こたつに入ってるから暑いんじゃん!」



一人でツッコミを入れて勢い良くこたつから出て、パジャマを脱ぎ捨ててその辺にあった服を纏った。


コートとマフラーをクローゼットから取出し身につけて、バッグを手に取り玄関に向かった。



「アイス買いにいこ」





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