「一緒に虹を、見てみたい」






~恵口希花~

 A街に雨が降るのは、二日間の予定。

 この二日の間に、雨人達は、病院で手術を受けなければならない。

 でも、こちら側の準備は万端、後は雨人が帰って来るのを待つのみになっていたこの日、私は成人式が行われるため、塩見君とA街に戻って来ていた。

 着物屋さんでレンタルした、華やかなパステルイエローの振袖に、赤い帯を締めて、市民会館へ向かう。

 外はツンと冷えていて寒いが、まだ雨は降っていない。

 ……とは言っても、ホールでは、中学別に別れて座ることになっていて、塩見君は一緒に座ろうと言ってくれたのだが、彼はすぐに昔の仲間に話しかけられ、高校から転入してきた私は、後方に一人座る。





< 234 / 275 >

この作品をシェア

pagetop