ケダモノたちのお姫さま
これでも一応男なんだけど
琥珀くんのところから戻ってきた藍は、わたしの部屋に一直線に向かうと、わたしをベッドの上に放り投げた。


「…藍っ。さっきのは…なに!?あれって…、キ…キ…キキキキキ――」

「キスだよ」


わたしが言葉にするのをためらっていたというのに、藍はあっさりと認めた。


「そう…それ!わたしとキスなんて、ありえないんじゃなかったっけ…!?」

「ありえねぇよ。つーか、最初にしてきたのはお前からだろ」

「わたしのは事故だよ…!」


なのに、そのあとに――。

藍があんなことするから。


「それに、琥珀くんがいるっていうのになにして――」

「お前こそ、なにしてんだよ。自分からノコノコ男の部屋に上がり込んで」

「べつにノコノコ上がり込んだわけじゃ…」


染み抜きしに行ったら、なぜかあんな展開になっただけで。
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