カフェラテdeプリンのカサブランカ日記

2.

 そんな1997年に母さんは交通事故に遭います。 夜のドライブ中の事故でした。
相手が4トン車だったので勝てなかったんです。
 母さんは意識不明の重体、脳挫滅の最低最悪な状態でした。
親族はと言うと葬式の話ばかりに盛り上がっていましたね。 情けなかった。
死んだほうがいいとか、贅沢なやつだから要らないとか、、、これで親族って言えるのでしょうか?
 それでも母さんは蘇生してくれました。 そして厳しいリハビリにも耐えてくれました。
 そんな母さんに恩返しをしたい。 そう思ってカサブランカを植えたんです。
無事に花が咲いて良かった。 七回忌に応えられた。
それだけでも満足なんですが、次の年も咲かせたいと思ったんです。
それでまたまた戦いが始まりました。

 小さな町に引っ越して3年目。 でもね、長居することは無いだろうなって思ってました。
兎にも角にも不便なんですよ 保険料は高いしね。
だってさ、給料はそうでもないのに保険料は年間17万なんです。 高いっしょ。
まとめて払えるような金額じゃない。 隣町に引っ越した時、あまりの安さに腰が抜けたくらいですからね。

 さてさて2020年も年末です。 今回はプランターにも球根を植えて越冬です。
プランターも雪に埋もれてしまって冬眠の季節が来ました。
エベレストが聳えることは無さそうだけど、それでもやっぱり寒いんですよね。 財布も寒かった。
保険組合がおかしなことを言い始めたのはこの頃です。
「右肩が悪いんだったら右肩だけマッサージすればいいじゃないか。」 「これまで施術費を払い過ぎてるから返してくれ。」
それが原因でぼくらの仕事は倒産したんです。 いやいや、、、ですよ。
保険組合というのは頭のいい方が多いんですねえ。
ぼくらは保険診療をするのに医師の同意書を貰うんですが、その医師にわざわざ喧嘩を売ってくれるんです。
「この病気でマッサージをやってるんならあんたの病院に通う必要は無いだろう。」ってな具合にね。
それで医師がへそを曲げてしまって同意書を書かないって言い出したことも有るんです。
役所の中しか知らないお偉いさんだから世間の常識が分からなかったんですねえ。
まあ、ぼくらが倒産しても彼らの胸が痛むわけではありません。
何とも思わなかったでしょう。 死んでから苦しめっての。
そんなこんなで2021年を迎えるわけです。 コロナも2年目ですねえ。
 ぼくらは休業補償も何も有りません。 感染者を出したら最低最悪、即刻終了です。
感染者も出さなかったし、ぼくらも感染しなかったことが不思議に思えます。
隣町でも陽性の人は出ていたのにね。
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