「十年経っても、消えなかった」
『もっと早くに、気付けばよかった』
~宝生唄~
雅君のあのキスは、一体何だったのだろう。
どういうつもり? ノリ? 勢い?
熱で二日も休んでしまい、申し訳なさいっぱいで職場に出てきたはいいが、受付はよくてもパソコンでの仕事が溜まっていて、ワタワタしていると失敗も多く……。
「宝生さん、ここ違うんだけど」
「すみません。すぐに作り直します」