ずっと、そばにいるよ2
〜その頃〜
航也が美優の病室をのぞくと、布団に包まっていて、鼻をすする音が聞こえる。

(翔太の予想的中だな…)

「おーい、美優?お顔見せて?苦しくなっちゃうから出ておいで?」

美優はぐちゃぐちゃの顔で布団からひょっこり顔を出す。

「ハハハ、何泣いてんだよ。元気出せよー(笑)寂しくなっちゃった?」

「うん…グスン…寂しい…」

「えらい素直だな(笑)
今日はもう仕事終わったから消灯時間までいてやるから、だから泣き止めよ」

そう言うと航也は指で美優の涙を拭い、抱きしめてくれる。

こんな時に看護師さんが入って来たら航也はどうするんだろう…?

なんて考えながら、素直に航也の胸の中に身を預ける。

「美優ももう少しで外泊だからな。どこか行きたい場所ある?」

季節は6月の初夏。

季節の変わり目で体調に気を付けなければいけない季節だけど、発作の頻度が落ち着いているからか、行きたい場所に連れて行ってくれるつもりみたい…

でもまだ遠出したり、体をたくさん動かすのは駄目だろうと、頭の中で行けそうな場所を必死に探す。

「海…見に行きたい…前行けなかったから…」

「前に外泊した時に行けなかったもんな、いいよ、他には?」

「まだ良いの?」

「あと1つくらいならいいよ」

「う〜ん、水族館がいい!」

「水族館か〜了解。楽しみ見つけながら過ごそうね」

気分が落ちてるのを察して、元気付けてくれる航也はさすがだなとつくづく思う美優だった。
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