恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜

最終話

「アオ君、シュシュ……2人に話した通り、戻ったら別荘を出なくてはならなくなったわ……ごめんなさい」

 2人とも、首をブンブン振り。

「そんな事どうでもいいって」
 
「そうです、私達にはアオ君の家もあります。いつの日にか、新しくみんなの家を買いましょう」

 2人の言葉に嬉しくて「ありがとう!」と、カサンドラは抱きついた。




 ♱♱♱




 カサンドラ達は公爵家に寄った帰り、近くの街で一泊して別荘に戻ってきた。御者にお礼と料金を支払い、荷物を下ろして、さっそく別荘の片付けをしようとした。

 そんな、カサンドラ達の元に早馬便が届く。

 その手紙は元と言ったらいいのか両親からだった。内容は偶然、お祖母様の遺言状が見つかり。別荘と遺産の一部を孫のカサンドラとシャリィに。残りの遺産は兄弟で分けなさいと書かれていた内容だったみたい。
 
 お母様とシャリィは遺産を受け取り……別荘の名義をカサンドラにしたから、自由に使いなさいと手紙には書いてあった。
 
 どうせ、ボロ屋だからいらないと思ったのだろう。
 カサンドラにとっては好都合、住み勝手がいい別荘が手に入ったのだから。

(お祖母様には感謝しかありませんわ)

 届いた、手紙を読んだままのカサンドラに。

「その手紙になんて書いてあるんだ?」
「ドラお嬢様、なんて書いてあったのですか?」

 と、聞いてくる。
 カサンドラは微笑んで。

「聞いて、アオ君、シュシュ、別荘が私の持ち物になったから、ここから出て行かなくてよくなったわ」

「……お、おお、なんだが都合がいいな」
 
「でも……また、ここでみんなと暮らせるのですね。私、たくさんお掃除します」

 別荘の入り口で騒いでいる声が聞こえたのか、屋敷の奥から、にこやかに笑うお祖母様が出てきた。

「カサンドラ、たぬっころ、シュシュ、おかえり」

「ただいま、魔女様」
「いま、もどりました」

「ただいま、セリィーヌお祖母様……ありがとうございます。でも、お金の方は良かったのですか?」

「いいさ。あんな端金で喜んでいるんだ、おめでたいねぇ。ありゃ領地経営が上手くいっていないようだね……そろそろ気を引き締めて経営しないと、リャリィが王家から返されて、公爵から落っこちるよ」

「え、ええ? そうなんですの?」

「ククッ、シャリィは王妃教育なんて受けたくないと、泣き叫び……相当な駄々をこねてるらしい。皇太子妃になるまでの期間が短くて、覚える量の多さと。前婚約者のカサンドラが良すぎたんだね」

 セリィーヌお祖母様が言うと、本当にそのようになりそうでドキッとする。でも、公爵マドレーヌの名前を返した、カサンドラには関係ないこと。

 こればかりは、なる様にしかならないわ。

「フフ、私はシャルルのところにお茶に行ってくる」

 まあ。
 
「お祖母様、いってらっしゃい」

「シャルル様、大喜びだな。魔女様、気を付けて」

「いってらっしゃいませ」

 お祖母様がホウキに乗って飛んで聞く、それを見送った。実はお祖母様からまだ預金があると言われて「カサンドラ達で使いな」と、いただいたのだけど……その金額の多さにカサンドラは驚いた。

(後で、アオ君とシュシュに話して、3等分にして……2人の口座にも入れなくてはね)

 

 やっと、煩わしいことは全て終わった。
 
 再びこの場所で、カサンドラ達の楽しい生活が始まる。
 カサンドラは荷物を持って前を歩く、アオと、シュシュの手を握り。

「明日から、私達は私たちで楽しくやりましょう! (また、みんなで旅行に行きたいわ)」
 
「そうだな(ドラが公爵じゃなくなって、オレと同じか……嫁にしたい、口説くしがないな)」

「はい! (ドラお嬢様とアオ君の恋の行方を見守らなくちゃ。もし、お嬢様が困っていたら教えられるように、明日から恋愛の本をたくさん読まないと!)」

 考えは三人三様だが。
 カサンドラ、アオ、シュシュはお互いを思いやり、これからも仲良く過ごしていく。

「そうだ、アオ君、シュシュ。ひと月後にアマラン魔法都市に旅行に行きましょう。絶対に楽しい旅行になるわ!」

「いいな」
「ドラお嬢様、行きましょう!」

 アオ君、もう少しだけ待っていてほしい。
 カサンドラは芽生えた恋を、今は大切にしたいと思った。――だけど、いつかこの思いを伝えるわ。

 カサンドラは精一杯、笑った!
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