麗しきヴァンパイアは大和撫子に救われる
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「イオン・ワイズミュラー、貴公を国外追放とする」
階段の遙か上にいる王座から重い声がして、イオンは片膝を突いたまま頭を下げていた。
周囲には多くの者がいるはずなのに沈黙を貫いているようだ。
「下がれ」
その声にイオンは立ち上がり再度頭を垂れる。
顔を上げた時、イオンと王の視線が交わった。
だが王の目には一切の優しさなど無い。
イオンは数歩下がって背を向け歩き出し両端に並ぶ王族や関係者から冷たい視線が遠慮も無く注がれるが、イオンの表情は何も変わらない。
「銀のナイフで親を殺すなど」
低い声が聞こえたがイオンはそちらを見ることも無くその広間を立ち去った。
「イオン様!」
イオンに使えるアミルが駆け寄り声をかけた。
イオンは26歳になるが、そのイオンの乳母の息子、そしてイオンが兄のように子供の頃は慕っていた一番の側近アミルは歩みを止めないイオンに話しかける。