ループ3周目の第二王子様!─溺愛同棲ルートに連れ込んで、無表情無口令嬢を泥デロ幸せにするまで─

涙をこぼす無表情のレイラが首を振る。涙だけが雄弁に彼女の痛みを語っている。


もう真顔には引かない。

レイラが悲しんでいることがこんなにわかりやすく伝わってきている。だがどうしても、彼女の口は重い。ルーカスはやり方を変える柔軟さを見せた。


「わかった。何も話さなくてもいい、側にいるだけでいいから。部屋に入れてくれ。そんなに泣いてる君を一人にしたくない」


レイラは真顔で首を振り続けて、ドアを閉め始める。ドアが閉まる前になんとか引き止めたかったルーカスが声を荒げた。



「君の隣りにいたいんだ!」



恥ずかしさなんて置き去りにして最大限に食いさがったルーカスだが、無情にもドアは閉められた。力づくで開けることはできる。だが、それをしてレイラの気持ちが聞けるとは思えず、ドアをぶち抜くことはできない。


「……どうして」


レイラの心のように閉じられたドアに額をぶつけたルーカスは奥歯を強く噛みしめた。


イエール国の王女との婚約を失くして国を守るための方法はいまだ見つからず、レイラからは突然の拒否だ。


ただレイラの隣にいたいだけなのに、どうして何もかも、うまくいかない。


< 209 / 268 >

この作品をシェア

pagetop