緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

19

「アンさんこんにちは!」

 ヴェルナーさんの可愛らしい妹さん、フィーネちゃんがひょっこりと現れた。
 花たちに負けない笑顔を浮かべた天使の登場に、私の心がほっこりする。

「フィーネちゃんいらっしゃい! あれ? 今日は一人で来たの?」

 前回はヴェルナーさんと一緒にわざわざお礼を言いに来てくれたフィーネちゃんだったけれど、今日は一人で来たようだ。

「お兄様は急な仕事が入ったそうですの。一緒に来れなくてすごく残念そうでしたわ。アンさんによろしくと言っていましたわ」

「そうなんだ。騎士のお仕事も大変だなぁ。でもフィーネちゃん一人だと危ないよ?」

 フィーネちゃん達のお家がどこにあるかはわからないけれど、きっとこのお店から離れた場所だろう。だってこんなに可愛いフィーネちゃんを見かけたら絶対覚えているだろうし。

「ご心配いただき感謝しますわ! でも大丈夫ですのよ。ここまで馬車に乗って参りましたから!」

 そう自慢げに言うフィーネちゃんはとても愛らしい。頑張って背伸びしている感じが堪らない。

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