緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

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 昨日はジルさんとクラテールの寄植えを一緒に作ったり、美味しいお菓子を堪能したりと、とても充実した休日を過ごすことが出来た。

 ジルさんは作った寄植えをとても嬉しそうに持って帰り、大事に育てると言ってくれた。
 騎士団長という要職のジルさんはとても忙しいだろうから、元気に育ったクラテールがジルさんを癒やしてくれたら良いな、と思う。

 私はいつも通り朝早くに起きて、温室の花畑のお手入れをする。

<我が生命の源よ 清らかなる水となりて 我が手に集い給え アクア=クリエイト>

 水魔法の呪文を唱え、花畑全体に水を撒く。私の魔力が水へと変化し、光を反射しながら花へと降り注ぐ。

 魔力と光を受けた水が花を潤す光景は、何度見ても幻想的でとても綺麗だ。

(この光景をフィーネちゃんに見せてあげたらすごく喜んでくれるだろうけど……)

 ジルさんとヘルムフリートさんからは、私の魔法をむやみに人に見せないようにと言われている。
 <浄化>と<治癒>の効果があることも他言無用だから、この温室をフィーネちゃんに見せてあげられないのがすごく残念だ。

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