緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長

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 アレリード王国の王都バルリングの中心、王宮にある会議室で、国王や大臣たちが出席する定例会議が行われていた。

「──と言うことで、今後は一刻も早く販売経路を解明し、首謀者の割り出しに尽力しなければなりません」

「うむ。これ以上被害者を出さないためにも、組織の全容を調査し、関係者を一人残らず捕縛せねばなるまいな」

「まずは売人の取締りから始めては? 例の麻薬を売れないようにするのが先決ではないでしょうか」

「末端の売人を取り締まっても仕方がないでしょう。そんな事をすれば我々が麻薬組織に介入しようとしていることに気付かれてしまいます」

「それに最近は貴族の中毒者が増えていると聞きます。一般国民とは違う販売経路を持っているということは、複数の販売経路を持つ可能性も考慮しなければなりません」

「貴族と交流のある者が組織に関与しているということですね。もしくは何処ぞの貴族が首謀者の可能性も……」

「……うーむ。それは憶測が過ぎるのでは?」

「しかし! 実際、”アクア・ヴィテ”の中毒症状と思われる症状の貴族が増えているのです! 中には年若い令嬢も含まれている状況ですよ!」
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