緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
35
王宮に近い貴族街の一角にある生花店『プフランツェ』の一室にて。
店長代理のバラバノフが、店の経営者で最高責任者でもあるフライタークから呼び出しを受けていた。
「最近、生花部門の売上が著しく低下しているようですね。店長代理として、何か言い訳はありますか?」
フライタークの口調は丁寧だが、その言葉には言いしれぬ怒りが込められていた。綺麗な顔も相俟って、強面のバラバノフより遥かに迫力がある。
「申し訳ありません……! ……恐らく、王女殿下の婚約式の装花を請け負った店に……その、顧客が流れたから……だと思われます」
「王女の婚約式は諸外国からも注目されていた行事なのはご存知でしたよね? そんな大口の受注をどうして他の店に奪われたのです?」
「そ、それが……っ! 王女殿下のたっての希望で、その店が指名されまして……! その……っ!」
バラバノフが辿々しく説明する。しかしどう説明しても、フライタークの怒りは収まらない。
「そんな事はわかってます。聞けば女主人が経営するかなり小さい店だそうですが。……そんな店にこの私の店が負けた、と?」
店長代理のバラバノフが、店の経営者で最高責任者でもあるフライタークから呼び出しを受けていた。
「最近、生花部門の売上が著しく低下しているようですね。店長代理として、何か言い訳はありますか?」
フライタークの口調は丁寧だが、その言葉には言いしれぬ怒りが込められていた。綺麗な顔も相俟って、強面のバラバノフより遥かに迫力がある。
「申し訳ありません……! ……恐らく、王女殿下の婚約式の装花を請け負った店に……その、顧客が流れたから……だと思われます」
「王女の婚約式は諸外国からも注目されていた行事なのはご存知でしたよね? そんな大口の受注をどうして他の店に奪われたのです?」
「そ、それが……っ! 王女殿下のたっての希望で、その店が指名されまして……! その……っ!」
バラバノフが辿々しく説明する。しかしどう説明しても、フライタークの怒りは収まらない。
「そんな事はわかってます。聞けば女主人が経営するかなり小さい店だそうですが。……そんな店にこの私の店が負けた、と?」