緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
38
──アンネリーエがジギスヴァルトから貰ったモーンクーヘンを食べようとしていた頃。
アレリード王国の王宮にある地下牢に、騎士団の団長であるジギスヴァルトの姿があった。
普段は足を運ばない地下牢にジギスヴァルトがいる理由は、アンネリーエを襲った酔っ払いたちを尋問するためだ。
「団長。どうやらコイツら全員”アクア・ヴィテ”中毒みたいですよ」
「む。”アクア・ヴィテ”だと?」
「はい、間違いありません。最近増えている中毒患者と同じ症状が出ていますから」
「……うぅむ」
ヴェルナーから受けた報告では、彼らは初めからアンネリーエを狙っていたという。
恐らく、以前アンネリーエの店を奪おうとしたバルチュ男爵のように、彼女の店に目を付けた貴族が首謀者で、足がつかないように貧民街の住人を雇い、彼女を襲わせたのだろう──という説が、今のところ一番有力になっている。
──だがしかし、とジギスヴァルトは考える。
部下の報告に間違いがないことをジギスヴァルトは理解している。
しかし、アンネリーエが襲われた理由がわからない。
アレリード王国の王宮にある地下牢に、騎士団の団長であるジギスヴァルトの姿があった。
普段は足を運ばない地下牢にジギスヴァルトがいる理由は、アンネリーエを襲った酔っ払いたちを尋問するためだ。
「団長。どうやらコイツら全員”アクア・ヴィテ”中毒みたいですよ」
「む。”アクア・ヴィテ”だと?」
「はい、間違いありません。最近増えている中毒患者と同じ症状が出ていますから」
「……うぅむ」
ヴェルナーから受けた報告では、彼らは初めからアンネリーエを狙っていたという。
恐らく、以前アンネリーエの店を奪おうとしたバルチュ男爵のように、彼女の店に目を付けた貴族が首謀者で、足がつかないように貧民街の住人を雇い、彼女を襲わせたのだろう──という説が、今のところ一番有力になっている。
──だがしかし、とジギスヴァルトは考える。
部下の報告に間違いがないことをジギスヴァルトは理解している。
しかし、アンネリーエが襲われた理由がわからない。