緑の手を持つ花屋の私と、茶色の手を持つ騎士団長
最終話
「残念ながら、この麻薬には特効薬も治療法もありません」
アンネリーエを診察した王宮医師が、ジギスヴァルトに診断結果を報告した。
「そんな……っ!! いや、しかし──、っ……!」
ジギスヴァルトは出かけた言葉を、ぐっと喉に押し戻す。
この王国で最高の医師の言葉を否定できるほど、自分は賢くもないし、知識もないと自覚しているからだ。
本来であれば、王族専属である王宮医師にアンネリーエを診察して貰うのは不可能だった。
しかし、アンネリーエはフロレンティーナの恩人だ。
状況を知ったフロレンティーナが国王に掛け合い、特別に診察の許可が降りたのだ。
「──とにかく、固定魔法を解除すれば、この方はたちまち禁断症状に苦しむことになるでしょう。かなり高濃度の麻薬を飲まされておりますから、下手をすると命を落とす可能性があります。それを防ぐためにも、しばらくこのままの状態で治療法が見つかるまで待つしかありません」
ヘルムフリートがその場にいたことは幸運だった。彼がすぐ固定魔法をかけたおかげで、アンネリーエは命を落とさずに済んでいるのだ。
アンネリーエを診察した王宮医師が、ジギスヴァルトに診断結果を報告した。
「そんな……っ!! いや、しかし──、っ……!」
ジギスヴァルトは出かけた言葉を、ぐっと喉に押し戻す。
この王国で最高の医師の言葉を否定できるほど、自分は賢くもないし、知識もないと自覚しているからだ。
本来であれば、王族専属である王宮医師にアンネリーエを診察して貰うのは不可能だった。
しかし、アンネリーエはフロレンティーナの恩人だ。
状況を知ったフロレンティーナが国王に掛け合い、特別に診察の許可が降りたのだ。
「──とにかく、固定魔法を解除すれば、この方はたちまち禁断症状に苦しむことになるでしょう。かなり高濃度の麻薬を飲まされておりますから、下手をすると命を落とす可能性があります。それを防ぐためにも、しばらくこのままの状態で治療法が見つかるまで待つしかありません」
ヘルムフリートがその場にいたことは幸運だった。彼がすぐ固定魔法をかけたおかげで、アンネリーエは命を落とさずに済んでいるのだ。