竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「クー……」
エリナはは、は、と息をする。
吸い込みすぎた息が上手く吐けない。
どうして不思議そうな顔をしないの。どうしてそんな風に私を呼ぶの。
どうして――……。
「はちみつ、色」
あなたの髪と、竜王の色は、同じなの。
「エリー、落ち着いて、息をゆっくり吐いて」
「や、いや、いやよ……近寄らないで……」
もし、竜王の番がエリナだったとして。
普通に暮らしているだけでは、見つからないはずだった。
エリナはただの平民として生きていけるはずだった。
けれど、こんなにも急に。こんなにもあっさりと見つかって、呼び出しがかかってしまうということは……。
エリナは目に涙を浮かべて、クーを見上げた。
息が苦しい。呼吸がままならない。