竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 メイドたちに下げ渡す、とかだろうか。エリナにはとんと縁のない文化だが、竜王ともなるとそういうのもあるのかもしれない。
 けれど、エリナのその考えは一瞬にして覆される。

「残ったら、全部僕が食べます」
「食べる?食べるって、この量を?ものすごい量あるわよ」
「大丈夫。僕はもともと大食漢なんです」

 微笑むクーに、そう言えば、とエリナは思い出した。

「そう言えば、あなた、クー。私の三日分のシチューを一度で食べ切るひとだったわね……」
「うっ、それは、おいしかったので……つい……すみません」
「別に怒ってはないけど」

 その余計な肉のついていない体のどこにあの量がはいるのか不思議だっただけだ。
 それとも竜種はもともとよく食べるのだろうか。クリスだって結構な量を食べていた。

 エリナがごくん、と最後のひと口を飲み込むと、クーは今度は葉野菜の多く入ったサラダをフォークで刺して、エリナの口元に持ってきた。

「……?」
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