竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 ただれた皮膚はいっそ死者のそれだと言われたほうが納得できるほどに生白かった。

 クリスが目を見開いてそれを見ている。エリナにも理解できてしまった。
 あの痛ましいまでの女の様相が、いつか見た人物のそれとかぶって、だからわかる。
 黒髪黒目の、癇癪もちの女――かつてとはかけ離れた容姿をした、哀れな女。

「カヤ……なの……?」
「あんたなんかが私を呼び捨てにするんじゃないわよ!エリスティナ!」

 幽鬼のような声、しかしそれははっきりとした怒りをもってエリナに届く。
 エリナが何か言う前に、クリスがエリナをかばうように前に立った。

「お前はカヤなのか。亡霊の類ではなく、カヤ本人だと?」
「あんたが――」
< 285 / 315 >

この作品をシェア

pagetop