竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 そう言って笑う、エリナとクリス。
 背後で、そんなふたりを見つめるエルフリートとダーナは、あらあら、おやおや、と笑っていた。みんな、笑顔だった。いいや、この先も――ずっと。

 式はつつがなく進行した。
 はじめこそ、腕を組んで共に歩いて入場してくる新郎新婦に参列者は驚きの表情を見せたけれど、エリナとクリスの幸せそうな笑顔を見れば、納得したように祝福の視線を向けてくれた。

 そうして、誓いのキスの場面で。
 ヴェールをめくって、中のエリナの顔があらわになる。
 クリスはその顔にまた照れて、はにかむエリナの唇に、ずいぶん長いこと口づけをした。

 その時、クリスの、ガラスのように美しい、陽光に反射して虹色に輝く翼が出現し、エリナを包み、ほかのものに見えないようにしたので――もちろん、透けているので完全に見えなくなるわけではないけれど――一部の参列者、主にエルフリートの「見せ場を隠すなー!」などというヤジが飛んだりもした。
< 313 / 315 >

この作品をシェア

pagetop