竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
「あいさせて、くれ、て、ありがと……」

 愛していい相手はいなかった。
 家族も、形だけの夫も、誰も好きになってはいけなかった。
 そんな中で、エリスティナの全身全霊で愛していい存在が生まれてくれた。
 心から、愛させてくれた。無償の愛を捧げることを教えてくれた。愛することを許してくれた。

 ……愛している、愛しているわ、クリス。ずっと、ずっと、あなたを――。

「あいして……る……」

 最後に聞いたのは、誰かの、絶望に満ちた嘆きの叫び。
 泣かないで、と手を伸ばしたくてももう届かない。エリスティナの意識は、暗い、暗い闇の底へとゆっくり沈んでいった。
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