竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~
 エリナはエリスティナだったころによく作っていたけれど、今ならミルクなんてどこででも簡単に手に入るし、あの頃の不帰の森のような都合のいい極限状況でなければなかなか作らないたぐいのシチューである。

「それが思い出のシチューなら、作ってあげてもいいけど……」
「本当ですか!?」
「う、うん」

 がたん!と椅子を蹴飛ばしそうな勢いで立ち上がったクーに、エリスティナはのけぞりながら答える。
 そんなに嬉しかったのだろうか。クーは保存袋から大豆を取り出すエリナをきらきらとした目で見つめて、目を離さない。

 少々緊張しながら、エリナは大豆を煮込んで絞り、大豆のミルクを作るところまでをやりとげた。
 兎は、という前に、いつの間にかクーが隣に立っていた。

「かってきました」
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