竜王の一途な溺愛~私が前世で孵した卵は竜王の卵でした!?~

 エリナは、自分でもどうかと思う、と思った。
 クーは悪くない。ただエリナへの好意を告げただけ。それなのに、こんなに手ひどく拒絶して。
 けれど、これを許して飲み下すには、エリナの、エリスティナの、打ち捨てられた前世の傷が深すぎた。

「エリナ、僕は」
「出て言って!」

 エリナはヒステリックに叫んだ。
 ぐいぐいと押し出すようにして、クーを家の外に出す。
 まだ何か言うクーの言葉に耳をふさいで、ドアの入り口に座り込んだ。

「なによ、なによ、神様」

 エリナはぎゅっと瞑った目から涙を流しながら、小さくつぶやいた。

「今さら、こんなことされたって、遅いのよぉ……」

 なんにも信じられない。ごめんね、クー、ごめん。私が弱いせいなの、ごめんね。
 エリナは、恋情という心だけは、もはやとうてい信じることができなかった。
 声に出せない謝罪ばかりが喉に詰まって息が苦しい。
 エリナは、そのまま日が暮れるまで、その場から動けないでいたのだった。
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