転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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「お父様」



 私は、お父様にすがった。



「このお話、断ってくださいませ。私とアルベール様は、実は別れてなどおりません。殺人事件解決のための作戦として、別れたふりをしていたのです。明日、彼はミレー公爵とご一緒に、私に結婚を申し込みに来られますわ!」

「アルベール様が?」



 お父様は、少し眉をひそめられたが、すぐにかぶりを振られた。



「そりゃあミレー公爵家といえば素晴らしいお家柄だが、王太子妃になれるチャンスを、棒に振ることは無いだろう。第一、私はもう話をお受けしてしまったんだ。国王陛下に向かって、やっぱり止めますとは言えないだろう」

「だから、どうして勝手に受けてしまわれるんです!」



 思わず金切り声を上げれば、お父様は苛立ったようだった。



「私のせいにする気か? どのみち、国王陛下の命に背けるわけが無いだろうが。とにかくお前は、おとなしく支度をしていろ!」



 とりつく島が無い。すごすごと部屋を出ようとして、私はドキリとした。扉を開けると、その前にはバルバラ様が仁王立ちになっていたのだ。どうやら、立ち聞きしていたらしい。



「あなた、どういうことですの?」



 バルバラ様は、私を押しのけて、ずかずかと部屋へ入って来られた。



「ローズが、マルク殿下をお慕いしていると知りながら! モニクを、殿下のお妃にですって?」
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