転生したら伯爵令嬢でした(ただし婚約者殺しの嫌疑付き)。容疑を晴らすため、イケメン年下騎士と偽装恋愛を始めます!

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「ご報告があって伺ったのですが、今よろしいですかな?」



 モンタギュー侯爵が仰る。すでに切り替えられている様子は、さすがとしか言い様が無い。アルベール様も、真面目な表情で答えられた。



「もちろんです。ベッドの上からで、失礼しますが」



 私一人があわあわしていたら、何だか馬鹿みたいだ。仕方なく食事を脇へ片付けると、私はベッドの傍に椅子を二脚用意した。一つは侯爵に勧め、一つに自分が腰かける。



「まずは、ドニ殿下の件です。彼が語った内容と、我々の調査結果から、次のことが明らかになりました。……おおむね、お二人の推理通りです」



 侯爵は、順を追って説明してくださった。



 ドニ殿下は王妃殿下殺害後、バールに男爵の爵位を融通した。さらに、彼に有毒植物を手配させ、マルク殿下に盛り始めた。手先となったのは、王宮の料理人の一人で、シュザンヌ妃の親族だという。殿下は、ご自分が王位に就いた暁には、彼の家を盛り立ててやるとたきつけ、実行させたのだそうだ。



 さらに、邪魔になってきたバール男爵を、私との婚約が決まったのを機に殺害を決意した。私を容疑者に仕立てようとした殿下は、アンバーに接近し、私の私物を入手した。



 婚約披露パーティーの夜、彼はバール男爵とシモーヌ夫人を呼び出して殺害し、男爵の手帳を奪った。手帳には、殿下が彼に融通した麻薬販売ルートに関する記載があったのだとか。二人はその件で、定期的に会っていたらしい。



 その後殿下は、窓から脱出した。アンバーの協力も得て、夫人を殺した短剣と返り血を浴びた服を、裏庭で始末したのだそうだ。その後着替えて、何食わぬ顔でパーティー会場へ戻ったのだという。



(窓から出られたから、廊下側からのぞいていた私に、気付かれなかったのね……)



 もし気付かれていたら、と思うと、私はぞっとした。
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