イケメンは好きだけど近づかないでください!
7.イケメンとすれ違う



『澪!おはよー』

「お、今日は寝坊しなかったのね」

『そう!そして今日はこれを持ってきた』

「…馬鹿なの?それ着て1日過ごす気?」

『まさか!トイレ行くときだけ!』

「他人のフリするね」

『嘘じゃん!?濡れるよりいいと思って…』



澪に鞄から出して見せたのはカッパだ

なんで気が付かなかったんだろう

画期的アイテムがあるじゃないか



『日本のアイディア力はすごいよね!』

「確かカッパって
日本発祥ではなかった気がするけどなー」

『えぇ!?そうなの!?』



衝撃な事実に驚きながら歩いていれば

頭が重くなる



「はよ。なに朝からアホな話してんの?」



案の定と言うべきか

私にこんなことするのは翔先輩しかいない


一緒に来たであろう柊先輩は澪と話し始めた

いつのまに仲良く…?

それよりも…



『おはようございます!翔先輩知ってました?
カッパって日本発祥じゃないらしいです』

「あ、そう…クッソどうでもいい」

『いや確かにどうでもいい話ですけど!
私的には衝撃だったんですよ!』



なんか河童から来てるもんだと思って

=日本ぽいなーって安易な考えだけど…



「良かったでちゅね~
これで一個勉強になりまちたね~」



びよんびよんと私の頬を横に引っ張る



「翔、やめてあげな」

『あ、ひいらぎせんぱい、おはようございます』

「おはよう優ちゃん」

「あんた秋月先輩を怒らせるような事
したんじゃないでしょうね?」

『むしろわたしがばかにされたんだけど!!』



柊先輩が翔先輩の肩を掴み

やっとほっぺが解放された…痛い…

あぁ、またしても可愛いほっぺが…と

両手で擦っていればちょうど良いところに現れた人物

翔先輩の腕を頭から降ろして駆け寄る



『水瀬くん!おはよー!』

「ん、はよ」

『これ!昨日は助かったよ~ありがとう!』



私臭かったらごめんねーと言えば



「別に気になんない、小鳥遊いい匂いすっけど」



ってこれなんかキモイか!?と

慌て始める水瀬くん



『あははっ、ありがとう!
そう、私って匂いからいい女なんだよね…』



髪をわざと靡かせて言えば笑う水瀬くん

意外と笑いの沸点低いな?



「じゃ、先に教室行くな」

『うん!あとでね~』



翔先輩達の元へ戻れば

またしてもジッと私の事見てくる



『な、なんですか?』

「小鳥遊」

『はい!?』



始めて苗字を呼ばれて思わず返事をした



「さっきの誰?」

『同じクラスの水瀬くんです』

「前から仲良いの?」

『いや?前からちょこちょこ話はしますけど
ちゃんと話したのは昨日が初めてです』



色々あって昨日ジャージ借りちゃって…

と言えば



「ふーん…」



質問しといて興味ない反応

これは出会った時からそうか


ガシッといきなり頭を鷲掴みされる


先輩、手、でっか


そのままぐしゃぐしゃと撫でまわされる



『ちょっ、何するんですか!』

「なぁ、俺、どう」

『???どうって…?今日も今日とて顔面強くて
こんなに話せるようになってることに驚きです?』



突然なんの話なんだろうか

自分の顔の良さを褒めて欲しいのだろうか



「(俺の事)」好き?」

『(顔の事?なら)大好きです』

「…っ、ハハッそうだよなー」



???


なにやらご機嫌になる先輩

顔なんていつも言われてるだろうに

どうしたんだろう


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