イケメンは好きだけど近づかないでください!



『翔くん、これここでいいですか?』

「ん、そこでいいー」



今日は翔くんの荷ほどきのお手伝い


そろそろ一旦休憩しようかと

お茶を入れてくれる



「今更だけどさ」

『はい?』

「前は普通に俺の事好きって言えたのに
なんで付き合ってからの方が躊躇うわけ?」



???



『え、言ったことないですよ?』



そんなのあったか?と思い返してみても

覚えていないし

絶対私の事だ。言えるわけないのだ



「ほらあのー前に俺の事どう思う?って聞いた時」







「(俺の事)」好き?」

『(顔の事?なら)大好きです』







あれか!!!



『あれは顔の事かと思って!大好きですって…』

「ハァ!?んだよ、そういうことかよ…」



こいつサラッと言うな―って思った。と

そんなサラッと言えるわけないでしょうが…



「はい、じゃあ俺の事どう思う?」

『…す、きです…』

「あーちょっと詰まったー」



惜しい!とケラケラと笑う先輩

はい、かわいいーすきー

心の中ではサラッと言えるんだよね


あ、そうそう今までずっとタイミングを

私が見事に逃していて

やっと、やっっっっっと黒髪の先輩を見れた

何故いま?と思ったが

金髪に飽きたから。という至極普通の理由だった



『ハァ~~~~~~~~』

「俺見てため息つくなよ」

『かっこよくて困ってんですよ!!!!!!』



壁にめり込むように頭を打ち付ける

先輩、よくこんな私を好きになってくれたよ

行動が我ながらキモイのは自覚済み



「なんでも似合っちゃうのが俺なんだよね…」

『アハハ、ソウデスネ』

「なんだよ、ノリ悪いな…
そんな優ちゃんにはあげられないなー」

『なんですか?』



これ。と出されたのは制服のネクタイ

そこで同級生を思い出す



「見てみて!これ彼氏と交換したの!」

「え!いいなー!私も彼氏の借りようかな」



彼氏とネクタイ交換をするというブームがあるのだ

付き合って3ヶ月

付き合えた幸せと卒業しちゃうやだ。で

頭の中はいっぱいだったので

そんなことスッポリと抜けていた



「ごめん、俺もそういうのあんの忘れてたんだよね
でももう卒業して使わねーし」



欲しいっしょ?



とニヤニヤして聞いてくる

この人、本当に私の思考をよく理解している



『く、ください…?お借りしてもいいですか…?』

「ん、いいよ。お堅い行事の時は確か女子はリボンって
指定だったけどそれ以外は俺の付けてね?」



俺がいない代わりにこれで牽制。



私が照れるようなことを

サラッと言ってのける先輩はすごい



『…別に先輩ほどモテないので大丈夫ですけど』

「それはそれ。俺が心配なの」

『フフッ はーい!』


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