人肉病
一週間前~圭太サイド~
その日、俺はいつもどおり自分の部屋でマンガ本を読んでいた。
部屋にの壁一面に白い本棚が並んでいて、その全部にマンガ本が並べられているくらい、俺はマンガが好きだった。
こうして少しの空き時間ができたときでも、すぐに部屋にこもって読んでしまう。

そこにやってきたのは父親だった。
父親はいつも仕事に行くときの白衣姿で、険しい表情でドアの前に立っていた。
ノックもなしに入ってきた父親に慌てて上半身を起こす。

父親には同じ会社に入るために勉強してくると伝えてあったので、冷や汗が流れた。


「い、今少し休憩中で」


慌てて取り繕った笑顔を浮かべて言い訳を述べる。
しかし父親は俺が勉強していなかったことを咎めるようなことはしなかった。


「出かけるからついてこい」


俺を見下ろして一言そう言うと、有無も言わせぬ雰囲気を身にまとって階下へ降りていく。
一体何ごとかと呆然としていた俺は父親の背中が見えなくなってから、慌ててその後を追いかけた。


「出かけるってどこに?」
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