人肉病
ネットニュース
廊下には沢山の生徒たちの姿があり、その誰もが自衛隊員がグラウンドへ入ってきた話題でもちきりだった。
普段ならすでに授業が開始されている時間だけれど、どこの教室にも先生の姿は見えなかった。
ユカリが倒れたこともあって、先生たちも慌ただしく立ち動いているのかもしれない。

私と圭太は廊下の隅へ移動してスマホを取り出した。
ここは学校内で最も電波のいい場所だ。
スマホ画面を確認した瞬間、私は息を飲んで泣いてしまいそうになった。
画面は両親からの着信通知で埋め尽くされていたのだ。

電話だけじゃない。
メッセージも沢山入ってきている。
大丈夫?
無事なら連絡ください。
そのどれもが私の身を案じているものばかりだ。


「ねぇ、これってどういうことだと思う?」


学校へ行った娘をこれほどまで心配する理由はなんだろう?
外では今、なにが起こっているんだろう。
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