人肉病
警戒
警戒しながら廊下へ出るとあちこちに血溜まりができている。
しかし人や死体の姿はなく、残っているのは骨と死んだ人間が着ていた制服だけだった。
胸元のネームを確認しなければ、その死体の性別すらもわからなくなっている。
それくらい綺麗に平らげられているのだ。


「本当にすごい食欲なんだな」


血溜まりの中に放置された制服を見て圭太が呟く。
血溜まりの中には肉片のひとつも残されていない。


「うん……」


私はその血を飲み干してしまいたいという欲望をどうにか押し込めて同意する。
さっきから空腹で微かにメマイを覚え始めていた。
このままでは倒れてしまうかもしれない。


「グロくないのがまだ幸いだ」


圭太は口元に手を当てて、再びあるき出したのだった。

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