S系外科医の愛に堕とされる激甘契約婚【財閥御曹司シリーズ円城寺家編】
 和葉が拗ねたように唇をとがらせると、彼はニヤリと瞳の奥を光らせた。グイッと和葉の腰を引き寄せ、柔らかなバリトンでささやく。

「あぁ。女扱いされたかったか?」

 和葉の心臓がドクンと大きく跳ねる。久しぶりのふたりきりという状況、それでなくても緊張しているのに、急に濃厚な色香を発せられると困ってしまう。

「そ、そういう意味では――」

 和葉の頬は赤く染まり、視線はオドオドと宙をさまよった。

「たっぷり愛してやるつもりだから、心配するな」

 否定をする間もなく、彼に唇を奪われる。彼の舌が和葉の口内を蹂躙し、甘い蜜が混ざり合う。深く情熱的なキスに和葉は息も絶えだえになる。

「ふっ。ま、柾樹さんっ」

 彼の手が和葉の背中を撫で回す。彼の視線も、指先の動きも、ゾクゾクするほど官能的で和葉の本能を呼び覚ましていく。

(どうしよう、身体が熱くて……自分が自分でなくなってしまうみたい)

「待ってください。こんな急に……」

 たった今、帰ってきたばかりで、荷物もリビングルームの片隅に置いたままだ。

「離れていた妻が久しぶりに帰ってきたんだ。抱きたいと思って、なにが悪い?」

 悪びれずに言って、彼はその胸に和葉を抱きすくめてしまう。

「ほら。もう逃げられない」
「……うぅ」
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