王子様とお姫様の甘い日常
──俺が美弥を連れ戻してから2ヶ月。

先日俺と美弥は、入籍を済ませ晴れて夫婦となった。

俺は、2ヶ月前までは美弥ともう二度と会えないんじゃないかと真剣に思っていたが、こうして世間から、綾乃(あやの)美弥ではなく、安堂美弥と呼ばれることに、俺は嬉しくてたまらない。

(安堂の苗字が、これ程嬉しいなんてな……)

大学2回の時に、俺の母が死んで安堂家に引き取られた時は、この安堂という名前が死ぬほど嫌いだったが、美弥と同じ名前というだけで心は勝手に浮かれてふわふわ飛んでいきそうだ。

俺は二週間前の双子のエコー写真をスマホから取り出すと、目を細めた。

「ちっちぇーな」

卵から孵化したばかりのおたまじゃくみたいな形から、あっという間にもう人間の形をしている。

美弥のお腹に俺との子供が二人も宿っていて、美弥が俺と同じ苗字を名乗り、俺の妻である事実に俺は口元を緩めた。

「妻とか……マジで幸せすぎてヤバいな……」

俺は、美弥からまだ早いと言われているが鞄の中から『赤ちゃん名付け辞典』を取り出すと、さっとページを捲っていく。
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