青天、哉。
生前、アゲハは私に教えてくれた。
「ホリーちゃん、私たちってね、付き合ってはないんだよ」
そのことは薄々気づいていたけど、改めてそう聞かされると、やっぱり驚いた。
「アゲハは付き合いたいって思うの?」
「そりゃね? でも、無理なんだよ」
「他に、好きな人がいる……とか?」
「ううん、そういう単純なことじゃなくて。ライトは多分、私なんかにはとても収まらないくらい大きな人間だって思うの」
「まるで太陽みたいなこと?」
「うん、そう。近づき過ぎると、自分の存在が焼かれて消えちゃうような気がしてさ。だったら私は月でいようかなって思ったの。一緒になることはないけど、対でいることはできるでしょ? そんな存在で、いいのかなって」
「えー、もったいない! それにライトってアゲハが言うような人じゃないと思う」
「かもしれないね。でも、ホリーちゃんも気をつけてね。このままだと、いつかきっと、私みたいになっちゃうから」
せっかくアゲハが忠告してくれたのに、私は結局守れなかった。