若旦那様の憂鬱〜その後の話し〜

それだけ?

柊生は花の気持ちを慮り、少しの表情の変化も見逃さないように見つめ続ける。

「柊君、お弁当温める?」
まるで何事も無かったように話してくるから逆に心配になってくる。

「花、思うところがあるならちゃんと言ってくれ。俺のせいだと思われても仕方ないと思ってる。」

「どうして? 
柊君のせいだなんて思わないよ。 
そんなこと言ったら、変に同情して話しかけちゃった私にも責任があるし。」

柊生は、ハッとする。

はぁーと息を深く吐き出して心の内を露とする。

「少なからずあの時、ファミレスで会った時、もっとちゃんと対応していたら違っていたかもしれない。そう思うと悔やんでも悔やみ切れない。」

花が近づいて来て柊生の手を取る。

「そんな風に思ってたの?
柊君が負い目を感じなくて良いんだよ。柊君のせいなんかじゃ無いからね。」

柊生はいくらかホッとして、
「俺のせいだって怒ってくれたほうが心が軽くなる。」
そう伝えるが、

花は怪訝な顔をして、
「大好きな旦那様にそんな事は絶対しません。」
と、腰に両手を置き仁王立ちして怒る。
その姿が可愛くて、フッと笑ってしまう。

「ありがとう。花のお陰で俺の気持ちが軽くなった。」
そう言って、花を抱きしめる。

「ありがとう。
柊君がそう言ってくれたお陰で私も気持ちが軽くなったよ。」
花もぎゅっと柊生に抱きついた。

「おっ!お腹から俺の事蹴って来るんだけど。」
柊生がびっくりして花のお腹を見つめる。

「パパしっかりしてって怒られたのか?」
柊生が真面目な顔で言うから、花はふふっと笑って、

「パパ大丈夫だよって言ってるんだよきっと。」
と、花が言う。


事件は一応、公にはならず犯人逮捕となり、2人を取り囲む世界も平穏な日々に戻った。


後日、犯人を知った間柴と美波は口々に言う。
「まぁ、結構、目立つ美男美女の馬鹿ップルだから、きっと妬みや嫉みのひとつやふたつ仕方ないよな。」
間柴は分からなくも無いと頷き、

「私だったら、あの夫婦に負けないぐらい幸せになってやるって思っちゃうけどね。」
美波はそう言ってメンタルの強さを垣間見せた。
間柴は人知れず美波の事をカッコいいなと思うのだった。
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