BABY主任は甘やかされたい~秘密の子育てしています~
それから



────────────────

────……それから4年後





「香江ちゃん、この領収書もお願いね」

「あの、山崎主任」

「ん?どうしたの?」

「仕事とプライベートは分けて頂けますか?」

「うん、でも……いつか山崎になるんだし。それに、香江ちゃん可愛いから他の男が寄り付かないか心配だからね」


耳元で囁かれる小さな甘い声。目を細めるみっくんが私のデスクに手をついて腰を屈める。
反対の手で私の頭をポンと撫でるから、頬がかぁーーーと赤く染まっていくのが自分でも分かった。



「……み、みんなもう知ってるじゃないですか!わ、私達がつき合ってること…」

「はは、それもそうだね。領収書(それ)、よろしくね」


だから距離が近いんだってば……。
何度、気をつけてと言っても、わざと名前を呼んでくるみっくん。しかも爽やかな笑顔のまま悪びれもなく。

周りを見渡さなくても冷やかしの目と呆れた視線を向けられているのが伝わってくる。


この会社に入って2年目の春。
部長に簿記2級の資格をすすめられた。3級は持ってるしんだし、まだ若いんだから色々受けてみたら──と。
そして、去年、営業部から経理部に移動となったのだ。


< 172 / 179 >

この作品をシェア

pagetop