煩悩過多なイケメンは私に一目惚れしたようです【マンガシナリオ】

○場面は切り替わり。
 体を拭き終わって、新しい服でベッドに横になる真尋。

真尋「あっ、ありがとうございましたッ、如月さん」
千華「大丈夫? 御厨くん」

 真尋はぜーぜーと息を乱し、苦しそうだ。でもそれは熱からではない。

○(回想)
 体を拭いている時は、千華がなるべく真尋の体を見ないように目隠しをして拭く、というイベントが発生していた。
 視界ゼロで見えていないため、上半身だけとは言え際どい所(胸や、腹筋)を拭く千華に、「如月さん!?」と何度も慌てる真尋。

 目隠しをしている千華の姿も、視覚的な興奮を呼び起こしてくる故に、疲労こんぱいの真尋だった。

真尋「ある意味、大丈夫ではないです」
千華「?」

 掛け布団を肩までちゃんとかけて、壁の方を向く真尋。

真尋「……如月さん、夕方には母が帰ってくるのでもう大丈夫ですよ。あまり長くいると、如月さんにうつしてしまうかもしれません。ご迷惑をかけて申し訳ないです……」
千華「気にしないで。体調が悪い時は頼っていいんだよ」
真尋「……はい、ありがとうございます」
千華「どういたしまして」

 柔らかい笑みを浮かべた千華。

千華「お母さん、もうすぐ帰ってくるんだよね?」

 「じゃあ、私はそろそろ」と千華は立ち上がり、壁の方を向いてこちらを見ない真尋を数秒見つめる。
 ──そしてストンと座り直した。

千華「御厨くん」
真尋「……はい」
千華「こっちむいて」
真尋「…………」

 ゆっくりと寝返りをうち、千華の方を向く真尋。目が合い、にこりと笑う千華。

千華「はやく良くなるといいね」

 さらり、とおでこにかかる前髪をはらい、頭をよしよしと撫でる千華。
 
千華「友梨ちゃんにも挨拶してから帰るね」

 ベッドに手をつき、立ち上がろうとした千華。けれど顎をすくわれ前を向かされる。

千華「え──」

 マスクの上から、真尋は千華にキスをした。

千華「……!」
真尋「もしうつしてしまったら、今度は俺が看病します……」

 そう言って、ふらりとベッドに倒れる真尋。すぐに、すぅと寝息が聞こえてきた。
 薬が効いてきたのかもしれない。


○玄関
 友梨が千華をお見送りしている。
 友梨は名残惜しそうだ。

友梨「チカちゃんもう帰っちゃうのー? また遊びにきてね、絶対だよ!」
千華「うん、もちろんだよ」

 玄関を開けて、閉まる隙間から「バイバーイ!」と言う友梨に「バイバイ、友梨ちゃん」と返す。
 バタンッと玄関扉が完全に閉まってから、千華はマスクを外して頬に手を当てた。
 顔が赤い千華。

千華(──熱が、出てきたかもしれない)

 
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