彼氏がふたり B



日が落ちる前の夕方。待ち合わせの場所につくと、唯斗くんと壮真とあと1人知らない女の人が立っていた。
年上で背が高くて綺麗な女の人。




「はじめまして、唯斗の姉でーす」


最初、壮真に見せ付ける為の女友達かと思ったけど。少し低めの声のトーン。彼の「姉」と言われて、すぐに「兄」だとピンときた。



「ごめんねー、美麻ちゃん。なんか、コイツおばけ屋敷行ってみたいってついてきちゃってさ」

「きゃー、女子高生だ!若ーい、肌もピチピチ!可愛いーー!!触っていい??」


唯斗くんの呆れた声に女の人の台詞が続く。
綺麗だけど、骨格、体の作りは男の人に見える。頬に触れた大きな手は骨ばっていて女性には見えない。

それでも、サラサラの長い髪に白い肌、丁重な化粧。指の動きや柔らかい笑い方。身に纏う雰囲気が清楚でしなやかで、大股を開いて座る穂波なんかよりずっと女性らしい。

全然、気持ち悪くなんてない。



「唯斗くんのお姉さん、綺麗ですねぇ」

「良《い》い子!唯斗の彼女?勿体無ーい!!」



「違うよ、壮真のだよー」


唯斗くんの言葉に、ドクンと心臓が飛び跳ねた。
壮真の姿はまだない。周りを見渡したところで、唯斗くんがクスリと口元を緩めて言葉を続けていく。




「美麻ちゃん、壮真が気になる?」




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