孤独だった君に、僕の全身全霊の愛を…
ゆっくり、手を繋ぎ森林を歩く。

「風、気持ちいいね!」
「フフ…そうだね!」

「やっぱ、緑に囲まれるっていいよね~!」

「フフ…良かった!
真絋が、気に入ってくれて!」

「うん!気に入った!
普段、パソコンばっか扱ってて目もかなり疲れてたし(笑)」

「だよね(笑)
だから、休みの日はよく来るの。
大雨じゃなければ、雨の日でも傘さして歩いたりするよ!
誰もいないから、何も考えずに歩けるし!」

「へぇー!」

微笑み合っていると、向かいから10代くらいの男女のグループが歩いてきた。
咄嗟に瑛茉は、顔を逸らし左の前髪に触れた。

どうしても“他人の目”を気にしてしまう瑛茉。

「………」
真絋は、そんな瑛茉を切なく見下ろしていた。


それから弁当を食べようということになり、草むらにレジャーシートを敷く。
真絋が、大の字で寝転んだ。

「んーーー!気持ちいい~」

フフ…と微笑んで、真絋の隣に座る瑛茉。

「瑛茉も、おいでよ!
ほら、腕枕してあげるから!」
「え!?/////
いや、いいよぉ…」

「気持ちいいよ?おいで?」

「で、でも…おこがましいってゆうか……」

「………」

「……/////」

「………じゃあ、強引にいく!」
そう言って、手を引っ張られた。

「ひゃぁっ!!?」

真絋の腕に、瑛茉の頭が乗る。
瑛茉は恥ずかしくなり、顔を赤くして俯いた。
重力で、前髪が落ちて左目が露になる。
必死で髪の毛を寄せて、隠すようにした。

ゆっくり、真絋が瑛茉の頭を撫で始めた。

「瑛茉」
頭の上から、真絋の声が落ちてくる。

「え?」
ゆっくり顔を上げると、真絋が額をくっつけてきた。

「それ、やめよ?」

「何?」

「僕に迷惑かけるとか、おこがましいとか…」

「あ…」

「今まで瑛茉が、左目のことでどれだけ傷つけられてきたかわからない。
きっと、凄く辛いことばっかだったんだと思う。
でも、僕のことは信じてくれない?
僕が瑛茉を守るから!
瑛茉が“自分自身を傷つけなくていいように”」

「え……」

「お願いだから……
僕の大好きな人を、これ以上傷つけないで?」

「………」
(自分を傷つける?)

「だって瑛茉、自分自身のこと卑下しながら傷ついてるもん。
そんなの、見たくない。
誰だって、大好きな人が目の前で傷ついてるのなんて、見たくないでしょ?」

真絋の言葉に瑛茉は、自然と涙がつたっていた。
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