一途な御曹司の甘い溺愛~クズ男製造機なのでお付き合いできません!~
 さらにブラジャーとショーツも剥ぎ取られて、素肌が曝された。
 全裸の紗英を、悠司は炙るような目線で眺める。
「あ……やだ。恥ずかしい」
「すごく綺麗だ。まるで愛の女神のようだね」
 甘く掠れた声で褒められて、紗英の胸は、きゅんと高鳴る。
 私……悠司さんが好きなのかな……。
 彼に激しい愛撫をされて、体は喜んでいる。
 キスマークをつけられた体の至るところが、甘く疼いてたまらない。
 彼を受け入れると、壮絶な快感が湧き上がり、甘く蕩けた紗英の肌が艶めいていく。
 ふたりは何度も達して、極上の快感を味わった。
 愛に溢れた行為を終えると、悠司は後始末を済ませる。
 それから彼は、紗英の頭の下に強靱な腕を差し入れて腕枕をした。
 彼は爽やかな笑みを見せて、乱れた紗英の髪をかき上げる。
「好きだよ」
 そのひとことに、紗英の胸がずきんと痛んだ。
 悠司さんは、ベッドをともにした相手への礼儀として「好き」と言っている……。
 それがとてもつらい。
 でも、もしかしたら違う意味かもしれない。
 初めに取り交わした『勝負』に勝つために、紗英の気を引こうとしているかもしれないのだ。
 どちらにしろ、本当の意味での『好き』ではない。
 紗英を嫌いとは思っていないまでも、本物の恋人にするほど好きではないのだから。
 だから、かりそめの恋人なのだ。
 紗英は自分の立場をよくわかっているつもりだった。
 もう恋なんてしないと決めたはずだった。
 それなのに、悠司と体を重ねたあとに「好き」と言われて、こんなにも傷ついている自分がいる。
 その顔を見られたくなくて、ぷい、と横を向いた紗英に、悠司は訝しげな目を送る。
「どうした。体が痛いのか?」
「……違います」
「機嫌を直せよ。キスしよう」
 そう言って、紗英に覆い被さってきた彼は頬にくちづけする。
 紗英はさりげなく腕を伸ばして、キスを拒否した。
 嘆息した悠司は、紗英の考えを証明するようなことを言った。
「まだ俺に甘えられない?」
「勝負のことですか……」
「それより、終わったあとはいちゃいちゃしたいな。キスもたくさんしたい」
 悠司は勝負のことなど、どうでもいいかのように考えているのだろうか。
 もっとも、酒の席で彼が言い出したことなので、悠司が忘れたら終わりなのかもしれない。
 私だって、悠司さんといちゃいちゃしたくないわけじゃない……でも……。
 甘えられないのは悠司にだけではない。いつから自分は、甘えない人間になったのだろう。
 背を向けた肩にくちづけている悠司の唇を感じる。
 だけど、振り向いて彼に甘えるなんてことはできなかった。
「紗英。眠い?」
「ん……」
 悠司は優しく紗英の肩に布団をかぶせる。
 そうしてから彼は、紗英の体を包み込むように、腕を回した。ふたりの脚は絡ませてある。
 抱くときは強引なのに、情事のあとは優しい彼に絆されそうになる。
 紗英は切なくなり、一筋の涙を流した。

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