BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

「ふうん。宝生さんが残ってるのって、珍しいね。迎えとか大丈夫?」

「大丈夫。ちゃんと連絡は入れてあるから」

「なら安心だね」


柔らかい笑みを見せた大城くんは、忘れ物なのだろうか、自分の机の中から何かを取るとすぐに教室を出て行った。


「また来週」


軽く、手を上げて。





このとき、私はまったく気づかなかった。


──大城くんが、青いシャツを着ていたことなど。



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