BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

仕方ない。

宝生ってバレたら、相手が萎縮するからだろう。


彼女たちがそう言う理由もわかるし、今さら腹が立つようなことでもない。


慶南高校はマンモス校だから、普通科の人にまで私の顔はあまり知られてない。

宝生の人間が通っていることは知っていても、名前を出さなければバレないだろう。


私は、中学まで名門の女子校に通っていた。

そのまま高等部へ進学すると誰もが疑っていなかった中、私は慶南高校を志願した。


理由は単純。
少しだけでもいいから、普通というものを味わってみたかったから。


今まで宝生家の娘として、親の言うとおりに生きてきた私の最初で最後の自己主張。


そうして受験したのが慶南高校だった。
< 19 / 134 >

この作品をシェア

pagetop