BLUE ROSE ー今夜、私を攫ってー

色々な器械を前に、難しい顔をしているスーツ姿の大人たちが多数。


おそらく刑事なのだろう。

外の静けさがまるで別世界の、戦場のような光景。


「妃翠っ!?」


けれど、母の声に彼らは一斉に動きを止めてこちらを見る。


一気に視線を浴びて、浮き上がる冷や汗。

ただごとでは済まないと思っていたけれど、これは想定の範囲外だ。


「無事なの!?」

「え、なんのこと……?」


私は首を傾げて戸惑うフリをした。


「あなた、誘拐されたんじゃ…」


「やだ、なに言ってるの? そんなわけないじゃん」


刑事の疑うような視線を気にしつつ、平然と答える。
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