スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。
第3章

◇お見合い



「じゃあ、千愛様! 今から気合い入れますからね!」


 それから早いことで一週間経ち、金曜日となった。今日は、お祖母様が整えてくださったお見合い当日で午後十五時だ。

 お見合いの時間まで準備をしなくてはいけないらしく、私は三時間ほど前から手厚いスキンケアをされていた。


 今日の着物は、呉服屋【サカキ】さんで作っていただいた数着の中の一つだ。今どきの人気カラー、ダスティーカラーで牡丹柄が描かれている。
 落ち着いているけど、現代的なデザインで大人可愛いものだ。それにレース仕立ての襟にベロアリボンがあり、帯揚げにもレースが使われていて、コットンパールの帯締めも可愛いづくし。だからか、なんだかお姫様みたいだなという印象だ。なのに可愛すぎることがないのは亜美達の腕がいいからだろう。


「髪は今日は下ろしてみました。どうでしょう?」

「素敵だよ、ありがとう」

「いいえ。千愛様は素材が良すぎるから」


 いつもはストレートか三つ編みをしている私だけど、今はゆるふわに巻かれていてサイドの髪は編み込みされている。
 編み込みの先には、小さな花飾りがちょこんと付けてある。メイクも派手ではないけど華やかさがあって自分の顔ではないみたいだ。


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