スパダリ煎茶家は、かりそめ令嬢を溺愛包囲して娶りたい。



「これはちゃんととっておこう」



 ……それから。
 お父さんの机の引き出しも整理しないといけないと思い、鍵を開けた。

 すると一番上にあったのは【借用書】という紙だった。その下にはお父さんが書いたであろう手紙だった。

 そこには、両親の間にはたくさん借金をしたこと。若い時、お金がなくてどうしてもといけない業者に頼んで借りてしまったこと。借金返済に売り上げは当てていたため貯金はほぼ無くなっていること……まだ、完全に返済できていないことが書かれていた。


「こんな金額、払えるわけないじゃない……」


 それはとてもじゃないけど、今すぐ払えるような額ではない。だって、四桁だよ。無理だよ。
 だけど返済しないと差押になってしまう旨があり期日も迫っていた。


「これ、明後日じゃん。今の売り上げを考えたらとてもじゃないけど……」


 お父さん。なんでこんなに大きい爆弾置いていったんだ。
 それを瑛一さんに話せば「少し整理したい。休みをほしい」と言われそれから数日後…。ポストに一つの封筒が入っていた。
 家の中に入り、封筒の封を切る。
 そこには、瑛一さんから婚約破棄をしてほしいということ、借金を一緒に返済は難しいこと……がつらつらと書かれていた。




 やっぱり、とは思った。
 だけど、瑛一さんはもしかしたら一緒に生きていく人なんだと思っていた部分もある。


 それでも残ったのは、このお店と借金。
 これからは、アルバイトをしながら借金を返していくのだろう……そう思った時。今までほとんど鳴らなかったインターホンが鳴った。

 




 
< 6 / 97 >

この作品をシェア

pagetop