LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

29 直哉の闇

「お前、藍ちゃんにきつすぎないか」

 連れ出した居酒屋で、直哉は瑠璃に言った。

 日曜夜の居酒屋はそれなりに混んでいて、カウンターに並んで座った二人をほどよい喧騒(けんそう)が包んでいた。

 瑠璃は口の端を(ゆが)めて笑った。

「藍ちゃん、ね」

「そういう言い方、よくないぞ」

「あなたは良いわよね、男だから」

「なんだよそれ」

「あなたにはわからないわ」

「わかってほしいくせに」

 笑う直哉に、瑠璃は苛立つ。

「私だけで大丈夫なのに」

「何が」

 枝豆をほおばりながら、直哉が(たず)ねる。

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