LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

40 ご婦人

 翌日もうきうきした気分で出勤した藍だったが、絶対にまたなにか落ち込むことがあるにちがいない、と警戒してもいた。

 空は青く晴れ渡っている。風が強くて雲が早送りのように流れていく。

 瑠璃はまた何か嫌な気分になることを言って来るだろうか。言い返した方がいいのだろうか。だが、それは大人のすることではないように思える。友達ではない彼女とケンカになれば、仲直りなんてできない気がする。これからも一緒に働いて行くのに。

 何かをされるのか、それともまたずっと放置か。

 関係ない。自分は仕事をしに行くのだ。

 藍は背筋を伸ばした。

 好きならがんばれる。

 心の中で唱えて、ポケットのアクアマリンを握りしめる。 

 瑶煌が自分のストラップにヒントを得て新商品を作ってくれた。これは誇っていいことだ。と自分に言い聞かせる。

 結局その日、瑠璃の放置はあいかわらず程度だったし、金曜だからお客さんも少なかった。たまの来客も見て回って帰るだけだったし、夕方まで何も問題はなかった。

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