LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

58 空の雫

 あとを藍の両親に任せて、瑶煌は病院を出た。

 晴れた空には澄んだ青が広がっている。

「ブルースカイストーン」

 なんとなくつぶやく。二人の思い出の言葉。

 あっと思ってポケットに手を入れる。

 と、やはりそれはそこにあった。

 昨晩、救急車にのるときに藍のポケットからベルベット調の小さな袋が落ちた。

 拾って持っていたのだが、中には割れたアクアマリンが入っていた。

 彼がいつか贈ったアクアマリン―――二人のブルースカーストーン。

 翌日に別れが待っているとも知らずに、ずっとためていたお金を全部持ってお店に行った。もともとは彼が欲しい鉱石を買うためにためていたお金だった。

< 204 / 262 >

この作品をシェア

pagetop