LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「君のところにも警察が来ただろ?」

「来たわよ。だけど、そんなの嘘よ。事務所に誰かが入り込んでやったのよ。よくわからないけど、それか、ここでスマホとかで書き込めば同じIPアドレスになるんじゃないの?」

「警察はそんなこと言わなかったけど。もう俺がやったって見当つけてたんじゃないのかな。書き込みの時間からも客じゃないことはわかっただろう」

「そんな……」

 瑠璃は言葉を続けられなかった。

 ふと、真っ赤に染まった藍の手に気が付く。藍は出血を少しでも抑えるために肘から先を上げている。

「あなた、その手どうしたのよ!」

「心配してくれるんですか?」

「当たり前じゃない。私はそこまで人でなしじゃないわ。バカじゃないの」

 と瑠璃は藍の手を掴み、ハンカチをほどく。

「こんなの止血になってないじゃない」

 文句を言いながら結び直した。

「すごいですね。こんなことまでご存じなんて」

「動画で見たの。あなたが殴られた日の夜。救急の知識が必要になるかも、って」

 あの日にそんなことをしていたなんて、と藍は瑠璃の勉強熱心さに感心する。

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