LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜
「この際、なんでも聞いてね」

 直哉が藍を見て言う。が、急に振られてもなにも思いつかない。

「ほら、瑶煌(たまき)も黙ってないで! 怖がられちゃうよ!」

 瑶煌は少し直哉を見ただけで、何も言わない。ただ笑顔を藍に向けた。

 か、勘弁して。

 それだけで藍の心臓は跳ねあがる。男性に耐性がなさすぎる自分が嫌になる。派遣のときにはこんなことなかったのに、いったいどうしてしまったのだろう。

「みんなコミュ障かよ」

「あなたがコミュ強すぎるのよ。よくそんなにべらべらしゃべれるわね」

「俺たちつきあい長いんだからそんなこと言わないでよ」

「ちょ、勘違いされる言い方やめて!」

 瑠璃が慌てて否定する。慌てる瑠璃を初めて見た。それだけ直哉に心を許しているのだろう、と藍は羨ましく思う。

「俺たちね、前の会社からの付き合いなの。前の会社って、『MEILLEURS SOUVENIRS(メイユールスーベニール)』ね。日本語にすると「最高の思い出」だって。言うよねえ」

「全国展開している大手ジュエリーショップですね」

 デパートにも大型スーパーにも出店してる。店員のレベルが高い、だから良い記念の指輪が変えた、と結婚指輪を買った友達が喜んでいた。

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