LE CIEL BRILLANT 〜無職29歳、未経験の仕事に挑戦したらジュエリーデザイナーにこっそり溺愛されてました〜

23 優柔な不断2

 藍は優柔不断である。

 買い物をするときにはかなり悩む。

 悩んだ結果、今日はやめよう、ということはよくある。

 だが、瑶煌についてきてもらった以上は買わねばならないだろう。

 次に入った店で、藍はまた悩んだ。

「気に入らないなら次の店に行けばいいよ」

 瑶煌に言われ、また次の店に行く。が、決まらない。

「申し訳ありません」

「女性の買い物ってそういうもんじゃないの?」

 なんでもないことのように、瑶煌は平然として答える。

 それだけ女性とつきあった経験があるのか。

 いやいや、この顔でもてないわけがない。

 仕事でいっぱいいっぱいだったから忘れていたが、直哉だけではなく店長もかなりのイケメンだ。

 先日のように酔っぱらった女を相手にするほど飢えてない。だから自分は安全だったのだ。

 ほっとするとともに少し残念に思ってしまう。

 ん? 残念?

 自分の気持ちの不協和に、藍は混乱しはじめる。

 ただでさえ宝石の知識を詰め込んだりスーツのことで悩んだりと頭がいっぱいなのに。

 これは気のせい。今はスーツ。

 藍は意識をスーツに向けなおす。

「次の店に行きましょう」

 ごまかすように、藍は言った。





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